皆様、“岩梨”って召し上がられたことはあるでしょうか。
いや、ご存知でしょうか。
4月から5月に可憐な薄ピンクの花をつける
草だか木だか判りにくい山野草です。
この実が5月中頃から6月上旬まで。。。『旬』を迎えます。
世間一般ではあまり召し上がられないようですが
ここ飛騨ではたいそう重宝に、貴重なものとして頂きます。
この実がなる頃は“マムシ”が出てくる時季と重なり
また、マムシがこの実を好む?せいか
合言葉は「マムシに気をつけろ」
この小さな実一つ一つに大皮と渋皮がついており
一つづつ手作業で剥いていくのですが
50粒、100粒と剥き終わる頃には指先は“灰汁(あく)”で真っ黒。
また、この灰汁はしつこく数日は落ちません。
こんな思いをしながら下処理された岩梨は
当館では焼酎に漬け
『宗和流本膳料理』の生盛膾(いけもりなます)の
名脇役として登場します。
この小さな実を召し上がっていただくために
マムシを恐れず山へ入り収穫してくれる方。
灰汁で真っ黒になる手を嫌がらずに渋皮を剥いてくれる調理補助のスタッフ。
そしてそれをおいしく加工くれる調理スタッフ。
ただただ感謝するばかりです。
沢山の人の手を介するこの『高級食材』も
昔はお菓子を買ってもらえない子供たちの
山でついばむ“手軽なおやつ”だったのですが。。。。。