緊張感のある至福のひととき。

私が以前修業させていただいていた
金沢の『つる幸』の
旦那さん、女将さん、若女将さんがいらっしゃいました。

旦那さんがお入りになっていらっしゃるお茶仲間のご旅行で
一泊しがてら夕刻と朝、茶席を設けて楽しまれました。

亭主役を輪番制にして月に一度、お集まりになっていらっしゃいます。

修業中の頃より『つる幸』さんでも毎月釜掛けのお手伝いなどさせていただいていたので
お顔を存じ上げている方々ばかりで懐かしくもありました。

とはいえ、再び“出張会場”としてお選びいただいたのは約10年ぶり。

お父様から息子さんへ代替わりされていたり、天に召された方もいらっしゃったりと
年月をしみじみと感じずにはいられませんでした。

今回のメインの茶席は旅先に相応しい『茶箱』。

小さく可愛らしいお道具や茶碗がいくつも出され、それぞれに趣深いものでしたが
またどれもに仕覆がついており
昔人の道具へ対する慈しみが伝わって参ります。

中でも小指の爪ほどの香合にまでしっかりついていたのは印象的でした。

朝は香席の後、立て出しで一服。

この朝の一服が“お泊り旅行”ならではの醍醐味だそうです。

なにやかやと世間話したり、解説を伺ったりしながら
一緒にお道具出しや片付けのお手伝いをさせていただいていると
金沢で過ごした日々を懐かしく思い出す楽しいひとときでした。

もう少し自分の時間が持てるようになったら
私も月に一度くらい、“真似事”でもしてみようかしら。


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