県内南東に位置する
中津川の栗、栗菓子と云えば
その名も知れた全国区。
長月に入るとともに、栗羊羹や栗おこわなど
多種多様な栗菓子、栗料理が花咲きます。
その中でも、つとに名高い『栗きんとん』。
栗と砂糖のみが原料のシンプルな和菓子。
シンプルな故に、その“材料”と“シゴト”が問われる部分でもあります。
最近は冷凍技術なども発達し、材料の栗を小出しにしながら
年間押し並べて生産されるところもあるやに聞きますが
僅かな味と品質の差にこだわり
“まじめに”やっていらっしゃるところにとっては
原料が短期集中で供給されるこの時期は
年間で最も繁忙の極みを迎えるのであります。
そんな中で、仲良くさせていただいているヤマツ食品さんの工場を
迷惑顧みずお邪魔致しました。
皮むきから身出し、篩(ふる)いにかけて砂糖を調合し、炊き上げる。
そんなラインで忙しく立ち動かれるスタッフの皆さんの活気もさることながら
興味は、その結果ブツである栗きんとんの材料とともに
残留ブツ“ゴミ”に注がれました。
毎日トン単位の栗の入荷を受けて
鮮度にこだわり、その日のうちに加工されるのですが
そこで出る廃棄物は原料の50%。
使えない殻や皮はわかるとしても
重量比でいっても“中身”は半分以上あるはず。。。。
その疑問は、トラックにうず高く盛られた山によって解決されました。
ほんの少し黒ずんでいる(やや鮮度が落ちている)ものの
半分にカットされただけで全く手が付けられていないもの多数。
身を掻き出してあるものも、まだまだ絞りとれそうなものばかり。
この光景を見て、米の表面の40%をこそぎ落として作られる
大吟醸酒を思い浮かべました。
そんな質問を色黒の前田社長に投げかけると
「それが中津川の栗に対するプライドなんや」
と返ってきました。
半分に割られた栗の中身を瞬時に判断して選別する
4名×2組の女性の方達が配置されていましたが
この方達が“品質の要(かなめ)”とも。
以前から前田社長夫妻のお人柄と品質への思いに惚れ込んでいて
10月の当館の茶菓子は、これでいこうと決めておりました。
その確認でもあった今回の視察?でしたが結果は、いうことなしの大満足。
ヤマツ食品さんで下ごしらえしていただいたものを
当館で手絞り栗きんとんに仕上げてお出しするつもりです。
プロがつくるきんとんではないので
少々形が不恰好で不ぞろいかもしれませんが
味は折り紙つき!
是非ともご期待下さい。
ちなみに、ECOと共生していきたい当館のスタンスにあって
トン単位で出てくるゴミの行方も大変気がかりでした。
よもや、産業廃棄物として焼却場へ。。。。。
と心配したのですが、それもご無用。
栄養価満点の栗の残存物は
栗畑へと還元されて
より品質の高い栗の生産へと循環されているそうです。